「精神科薬物治療の暴走」オルタナティブ協議会まとめより

3.6 子供への薬物治療

子供に対する薬物治療においては、うつのセロトニン仮説、統合失調症のドーパミン仮説のような仮説さえ存在していない。
つまり良くわからないが効果があるから治療するという乱暴な根拠なき治療が行われている。
前章で紹介したような大人に対する薬物治療の問題はもちろん子供にも起きる。いやむしろ、
成長期の子供に取っては大人より悪影響は遥かに大きい。

さらに子供は、治療選択の自由は制限され、治療を拒否する機会は与えられない。
薬物治療が子供の成長や健康に重大な悪影響を与える以上、
子供に対する無闇な薬物治療は重大な人権侵害である。

3.6.1 悪質な治験

子供への向精神薬の効果を示す治験や研究は、初めから効果を最大にみせ弊害を最小にみせるという悪質なものであった。

子供に処方された最初のSSRIであるプロザックについて、発売後の調査で、
子供を対象とするこの薬の研究15件のうち、12件が失敗していた。

さらに効果があるとされた研究のひとつは、非治験者全員に1週間プラセボを投与し、改善した子供は治験から除外していた。
さらにあらかじめプロザックに適応した子供だけを選んで治験に参加させた。

こうした薬に有利な条件でさえ、子供や親の自己評価尺度ではプラセボより有効性を示すことができず、
イーライリリー社から資金援助を受けた精神科医が記入する2次的な改善尺度でやっと有効性が示されたのだ。

3.6.2 子供の薬物治療の転帰

子供の薬物治療のへの入り口の多くは、ADHDをはじめとする発達障害診断である。
リタリン(コンサータ)といった覚せい剤の使用により、多くの子供は、そう状態やさまざまな精神症状を示すようになる。
するといつの間にか、診断は双極性障害や統合失調症などと変更されていく。