来場者にアンケート記入を促す浄土真宗本願寺派総合研究所の職員ら(2017年11月、大阪市住之江区・インテックス大阪)
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仏教について悪い印象を与えているもの
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 布施の額や僧侶の金銭感覚が寺や僧侶に対して悪い印象を与えている、というアンケート調査の結果を、浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺、京都市下京区)の総合研究所がまとめた。僧侶とお金という古くからの微妙な関係に、あらためて焦点があてられた形だ。

 同研究所は近年、僧侶や寺院、葬儀のあり方がかつてないほどに問われていると捉え、昨年から仏教や寺、僧侶の印象の好悪やその原因を探るアンケートを実施している。調査は、昨年に東京と大阪で開催された「エンディング産業展」に出展・来場していた葬祭業者や宗教者、一般来場者などを対象に実施し、2221通の回答を得た。

 仏教、寺、僧侶それぞれの印象の善しあしを5段階評価で尋ねると、平均で仏教は4・1、寺は3・8、僧侶は3・5だった。仏教には良いイメージが多い反面、寺と僧侶に対してはそれほど好印象が抱かれていないことが分かった。

 寺に悪い印象を与えているものは何かを聞く質問では、布施や懇志(こんし)の金額という回答が最も多かった。また僧侶に対して悪い印象となっている原因を問うと「人に対する態度」が最も多く、「金銭感覚」が続き、「法話の力量不足」を挙げる人もいた。

 仏教に悪いイメージを与えている要因への設問では、「僧侶」という回答が全体の25%を占めた。この答えを回答者ごとに分類すると、業者や一般来場者よりも宗教者自身による回答が群を抜いて高く、僧侶の「自己評価」が低いことが浮き彫りとなった。

 同研究所仏教音楽・儀礼研究室長の福本康之さん(49)は「僧侶教育の課題の一つが見えてきた。まずは人として信頼される僧侶を養成していきたい」としている。

京都新聞 2018年11月19日 18時00分
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