「昔はパソコンも20万円のものでしたが、今は4980円の中古品。
税金や公共料金も滞納中で、毎月山のような督促状に気が滅入ります」
そう話す関根さん(仮名・55歳)は元フリーライター。27歳でキャリアを始め、
高額な専門書を一人で編集するほどの敏腕だった。
「40歳の頃までは仕事は断るほどありました。風向きが変わったのは’04年頃。
IT化の波で取引先の経営実務系出版社が次々に倒産し、50歳を待たずに仕事はゼロになりました」
東京郊外に住む現在は、交通誘導のアルバイトで、年収は200万円。
バスで約20分の距離の自宅と駅の往復も、1時間以上歩いて節約している。
今、一番の不安は、「いつ働けなくなるか?」だという。
「先日、17時間拘束の6連勤で倒れてしまい。
息子3人の末っ子がまだ中学生なので、一日も休んでいられないのに。
昔のように赤坂の料亭で接待されるより、今はひたすらに息子の定期代が欲しいです」
そんな崖っぷちの関根さん。「でも、バイトの同僚には一流企業出身の人もいるので、
自分はマシなほうですね」と乾いた笑いを浮かべ、この日も徒歩で帰路についた。