転職したのは、美容新聞や美容雑誌など紙媒体とWebの制作会社。
美容機器や商品をネット通販するなど、業界では有名な会社だった。
「前職のキャリアを評価されて、配属させられたのが企画開発室。
制作媒体に企画を提案したり、実際に取材や編集などもできるというオールマイティな部署でした。
ところが、そこにとんでもないヤツがいて……」
創業者一族が牛耳る会社の創業者の孫が、直属の上司だった。
困ったことに年下の35歳の孫は、全く仕事ができない。
「自分の親族が経営する会社で、どっぷりとぬるま湯に浸かっているヤツでした。
企画も出せない、取材ポイントを外す、校正は間違いだらけ。敬語も使えず、
馴れ馴れしい態度が原因で美容家の先生たちをかんかんに怒らせてしまうことも多々ありました」
孫ができることといえば、取材交通費の精算だけ。そして彼が仕出かしたミスを尻拭いする毎日。
転職を後悔したが、ここで転機が訪れる。
「入社1年目ぐらいの時に、別の美容系企業からオファーがあったんです。
規模も大きく、女性の管理職もいる。
女性が活躍する会社なら働きやすいかもしれないと誘いを受け、行くことにしたのですが……」
ところがそこでは、泥臭い人間模様が渦巻いていたのだ。
「その会社には、3人の編集長がいて、Web媒体は40代アラフォーの女性の編集長。
40代後半と50代男性2人が、それぞれ紙媒体でした」
ところが、女性編集長が40代後半の編集長と不倫関係にあったのだ。
しかも不倫相手のその彼は経理のアラフォーの女性とも不倫。
つまり、W不倫が会社の中で繰り広げられていた。
「40代後半の編集長は、イタリア映画に出てくるような中年チャラ男。
茶パツでお洒落パーマ。背は低いけど、女に甘えるのがうまいタイプ。
妻子と湘南に住んでいますが、2人のアラフォー女性を手玉に取っているんですよ」