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国内唯一のハンセン病患者専用の刑務所だった旧菊池医療刑務支所=合志市栄で2017年11月16日午後1時52分、城島勇人撮影


 国内唯一のハンセン病患者専用の刑務所だった旧菊池医療刑務支所(熊本県合志<こうし>市栄)の独居房が、隣接する国立ハンセン病療養所「菊池恵楓(けいふう)園」内に移設・保存される見通しになった。
16日に同市であった恵楓園と入所者自治会、厚生労働省、熊本県、合志市でつくる協議会で、厚労省の担当者が方針を報告した。


 旧菊池医療刑務支所は国が進めた隔離政策の下で1953年に開設され、らい予防法廃止翌年の97年に閉鎖されるまで計117人が収容された。
獄舎や官舎が残っており、現在は九州財務局が管理している。

 同市が跡地に小中一貫校を建設したい意向を示したのを機に老朽化した獄舎をどうするのかについて関係機関の協議が始まった。
入所者自治会はハンセン病の歴史を示す貴重な史料として独居房の一部移設や記念碑の建立を国に求めていた。

 協議会で厚労省は、小中一貫校が開校予定の2021年春までに独居房を解体して恵楓園内の資料館に移設・復元して保存する方針を説明。
これまで移設や記念碑設置に難色を示していた法務省も前向きに検討していくとした。

 市は跡地周辺に小中一貫校を建設する意向を示している。
入所者からは「記念碑は新設される学校の正門近くに設置してほしい」「刑務所の歴史を後世に伝えるためにも法務省が所持している資料を開示してほしい」などの意見も出た。

 旧菊池医療刑務支所には、ハンセン病患者の裁判を隔離施設で開く「特別法廷」で審理された95件の中で唯一死刑が言い渡された「菊池事件」で、無罪を主張した男性が拘置されていた。
男性の死刑は1962年に執行され、元患者らは2012年、検察に再審請求するよう要請したが、検察は17年3月に再審請求しないことを決めた。


ハンセン病 旧医療刑務所房、保存へ 隣接の菊池恵楓園に
毎日新聞:2017年11月17日 08時00分