河津町の河津川沿いで、早咲きで知られる「河津桜」が老木化している。

古木は樹齢50年を超え、“新陳代謝”が必要だが、
河川法改正で大半の樹木は堤防での植え替えができない。
町と河川管理者の静岡県は2017年度中に流域計画を策定する方針で、
治水対策を踏まえた新たな桜並木の景観づくりを目指す。

町や県によると、1975年に河津桜が町の木に指定され、
町民有志らによる植栽が河津川河口などから町内全域に広がった。

県の調べでは、流域の53本に樹勢劣化や病虫害に侵された病斑が見つかり、
植栽間隔が短いため枝が接触する生育障害も目立つという。

堤防の樹木は根元から水が入り、土壌が緩んで決壊しやすくなる。
流木による堤防の損壊や水位上昇につながる恐れもあり、
98年施行の改正河川法は河川区域での植樹を禁止した。

町と県は2011年に行動計画を策定。
河津川の桜並木の適切な維持管理に努めているが、将来の枯死は避けられない。

法にのっとった計画的な植え替えが不可欠で、県下田土木事務所は
「新しい苗木が花を咲かせるのには年月がかかる。
 現在の桜並木を維持しながら新しい景観づくりを進め、開花の空白期間を避けたい」とする。

具体的には伊豆急河津駅近くの中心市街地や、まつり駐車場の多い町役場周辺の本数を増やし、
河津川沿いとの回遊性につなげる案などが挙がっている。

町観光協会の峰静雄会長は
「桜まつり来場者の100万人に向け、規模を縮小しないで継続したい」と訴える。
町と県は11、12日にワークショップを開き、住民意見を集約して計画に反映させるという。

<メモ>河津桜
オオシマザクラ系とカンヒザクラ系の自然交配種と推定され、開花が早いのが特徴。
2月上旬から3月上旬にかけて濃いピンク色の花を咲かせる。
「発祥の地」の河津町内には約8千本が植えられ、樹齢60年超の原木も健在する。

写真:800本の桜並木が続く河津川沿い。河津桜の老木化が進み、河津町と静岡県が対策を検討する
http://www.at-s.com/news/images/n41/409352/IP1710051JA094100000.jpg

以下ソース:静岡新聞 2017/10/5 17:00
http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/409352.html