前橋市が不用となったマンホールのふた十枚を一枚三千円(税込み)で売却しようと購入希望者を募ったところ、
今月一日から二十九日までに県内外から八十三人が申し込んだことが分かった。
同日に市水質浄化センター(同市六供町)で売却予定品の展示があり、
東京都の愛好家や市民ら計八人が訪れて熱心に品定めした。
(菅原洋)

今回の売却は、マンホールのふたをデザインした小形の「マンホールカード」が各地でブームとなる中、
市が全国の自治体で初めて企画した。

「このふたの裏面は唯一、他とはデザインが違う。一九七〇年代より前の古くて珍しいモデルではないか。
 『産業遺産』として市が保存し、市民に展示してもいいほど貴重だ」

本紙の記事を読んで東京都北区から足を運んだ飲食店店長、竹内正則さん(45)は、
職員でも製造が終了して年代が分からないふたを見てこう指摘した。

竹内さんは店内に独自のルートで入手したふたを展示するほどの愛好家。
同行した東京都文京区の友人で、システムエンジニアの白浜公平さん(40)と
二〇一一年から一緒にマンホール愛好家のイベント「マンホールナイト」を定期的に主催している。

白浜さんも
「ふたは使い込み、古くなった物ほど味わいがある。その土地ならではのデザインも魅力。
 近年の市町村合併により、製造されなくなった物も貴重だ」と熱っぽく語った。

前橋市の原嶋健一さん(83)も訪れ、
「ふたは一つ一つさび具合が異なるのがいい。ガーデニングが趣味なので、庭に飾ってみたい」と話していた。

市水道局によると、県内を中心に愛知、埼玉県などを含めて幅広く申し込みがあった。
これまで電話で約三十件の問い合わせもあり、
ふたを洗浄・消毒して「ジンギスカン料理に利用してみたい」と予想外の声もあったという。

経営企画課の須永高之主任は
「想定以上の反響で、来年度以降も売却を前向きに検討したい。
 これをきっかけにあまり知られていない下水道事業のイメージアップにつなげたい」と意欲を見せている。

申込期限は九月七日。
売却するのは、市の花であるバラ、市章などをデザインした三種類で、
直径約六十センチ、重さ約四十キロの鉄製。
購入時に転売不可などの誓約書にサインする必要がある。
一人一回の申し込みに限り、希望者が複数いる場合は抽選し、購入した人は車などで自ら搬出する。

写真:マンホールの裏面までチェックして品定めする愛好家たち
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201708/images/PK2017083002100091_size0.jpg

以下ソース:東京新聞 2017年8月30日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201708/CK2017083002000176.html