江戸時代に現在の南陽市に生まれ、山形藩お抱えの刀工として活躍した人物をご存じだろうか。
その名は水心子正秀(すいしんし・まさひで、1750〜1825年)。
日本刀本来の切れ味や強度を重視し、刀剣史上に「新々刀期」という一時代を築いた。
郷土出身の巨匠を広く知ってもらおうと、同市の結城豊太郎記念館で企画展「ふるさとの刀剣」が開かれている。

南陽市史によると、水心子は現在の同市元中山に生まれた。
13歳ごろに現在の同市赤湯へ移って鍛冶屋に弟子入り。
22歳で江戸に出て修行を積み、25歳の時に山形藩の江戸藩邸に召し抱えられた。
生涯で残した刀は369振り。

平和な世が続き、武士の装飾品としての色合いが濃くなっていた日本刀を良しとせず、
鎌倉時代や室町時代の作風を追求したことから「復古刀」とも呼ばれる。

水心子は多数の著書を残し、110人以上の門弟を育てた。
同館の加藤正人館長は
「刀の鍛錬技術が秘伝とされた時代に、惜しげもなく自身の知識を後進に伝えた。
 優れた教育者でもあった」と評価。
同市の烏帽子山八幡宮の境内には顕彰碑が建つ。

企画展では、水心子が打った脇差しと短刀のほか、無銘の日本刀を含めた計10振りを展示。
保存状態は良く、それぞれ違う刃文や刀のさやに施された装飾を見比べることができる。
水心子の著書の一つ「刀剣弁疑」も並ぶほか、親類に宛てた手紙からは故郷への郷愁が読み取れる。
いずれも市内の旧家などで保管されていたもので、
加藤館長は「日本刀の美しさや市内に残る貴重な史料を楽しんでほしい」と話している。

展示は9月24日まで(入館無料、月曜休館)。
同16日には、県指定無形文化財で県内唯一の刀工・上林恒平さん=山形市長谷堂=が展示品を解説する。
定員40人。

写真:市内に残る日本刀などが並ぶ企画展
http://yamagata-np.jp/news/201708/17/img_2017081700546.jpg

以下ソース:山形新聞 2017年08月17日 10:02
http://yamagata-np.jp/news/201708/17/kj_2017081700334.php