高円宮家の絢子女王殿下がご婚約! 結婚までの儀式と一時金について
山下晋司 | 皇室ジャーナリスト
8/16(木) 8:00
代表撮影/ロイター/アフロ
 高円宮家の三女、絢子女王殿下(27)と「日本郵船」社員、守谷慧さん(32)との納采の儀が8月12日、高円宮邸で行われました。
「納采」というのは一般の「結納」に当たります。この儀式をもって、おふたりは正式に婚約者となりました。
【結婚は私事】
 絢子女王殿下のように皇族女子の場合は皇族男子と違い、結婚は私事であり、国は基本的には関与しません。
旧皇室典範(明治22年制定)では「皇族ノ婚嫁ハ勅許ニ由ル」と天皇の許しが必要だったのですが、
現皇室典範(昭和22年施行)では「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と規定されているだけで、
婚約など結婚に至るプロセスについての規定はありません。
 皇室典範や皇室経済法については誤解している人もいますが、これらに規定されていないことは一般法の規定に従うことになっています。
よって、皇族女子が一般の人と結婚すれば皇族ではなくなりますが、誰と結婚するかは「両性の合意のみに基づく」ということになります。
あとは、一般社会と同様に"家"の問題になります。
皇族の場合、"家"イコール"皇室"ですが、結婚を皇室の長である天皇に許してもらう必要があるかどうかは、
皇室内部で決めればいいことであり、国が関与するものではないということになります。
ちなみに秋篠宮家の眞子内親王殿下の結婚に関しては、皇室内部の取り決めとして天皇が裁可しましたが、絢子女王殿下の結婚に関しては天皇の裁可はありませんでした。
これは絢子女王殿下は今上天皇の直系ではないからです。絢子女王殿下のお姉さま、典子女王(現、千家典子さん)の時も同様に今上天皇の裁可はありませんでした。
戦後、皇室典範による"勅許"の規定がなくなり、今後どうするかという話の中で「直系だけは天皇の裁可を得るという形式にしよう」となったのでしょう。
しかし、皇族女子の人権を法的にとらえた場合、天皇の裁可の有無に関係なく、結婚は可能と考えるべきでしょう。
【一時金】
 皇族女子の結婚は前述のとおり、一般国民と同様に私事ですが、大きな違いは皇籍離脱に伴って国から支給される一時金があるということです。
 一時金については皇室経済法(昭和22年施行)に規定されていますが、計算式は絢子女王殿下の場合、次のようになります。
 3050万円(定額) × 1/2 × 7/10 × 10 = 1億675万円
 この1億675万円を限度額として、皇室経済会議(衆参の議長・副議長、内閣総理大臣、財務大臣、宮内庁長官、会計検査院長の8名で構成)で実際の支給額が決められます。
詳細は省きますが、絢子女王殿下の場合、この限度額が支給されることになるでしょう。
 一時金は「皇族であった者としての品位保持の資に充てるために」(皇室経済法)支給されるものです。
結婚後は一般国民となるが、皇族であったのだから品位を保持してくださいとの国の願いです。
天皇や皇室の尊厳という視点では当然の願いですが、法的にはダブルスタンダードといってもいいでしょう。
 この品位を保持していただきたい期間はその元皇族の一生です。
結婚後の60年、70年といった長きにわたり品位を保持し続けていただきたいということになりますが、
1億675万円の一時金で仮に60年間だとすると1年あたり178万円ほどです。
品位保持とお金は必ずしもリンクするものではありませんが、理想と現実が乖離している制度といってもいいでしょう。
【今後の予定】
 最初に述べたとおり、絢子女王殿下の「納采の儀」(のうさいのぎ)は8月12日に行われました。
守谷慧さんの父方の親族である医師の近藤達也さん(76)が使者として高円宮邸に赴き、
久子妃殿下と絢子女王殿下に結婚を約束する旨を述べて、納采の品が記された目録を絢子女王殿下に手渡しました。
納采の品は前例に従って「鮮鯛」(今回は現物ではなく、その代料として現金)「清酒」「白い絹地」の3種です。「納采の儀」以降の主な予定は次のとおりです。
「告期の儀」(こっきのぎ)
 9月19日に行われます。納采の儀と同様に守谷慧さんの使者が高円宮邸に赴き、久子妃殿下と絢子女王殿下に結婚式を行う期日を伝える儀式です。
本来はこの「告期の儀」で結婚式の日が明らかになるのですが、すでに公表されています。