2018.03.07 11:00
以前はそこかしこで見かけたが…(写真:塚原孝顕)
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 老後の楽しみといえば「ゲートボール」。そんな時代が確かにあった。現在でも“ゲートボールは高齢者がやるもの”というのが一般的なイメージだろう。

 しかし、最近その光景を目にする機会がめっきり減った。かつては野球やサッカーを楽しむ小学生と、ゲートボールに興じる高齢者が、週末の早朝に公園の取り合いを日本のあちこちで繰り広げていたものだ。あのお年寄りゲートボーラーたちは、どこに消えてしまったのか。

 全国47都道府県のゲートボール団体を統括する日本ゲートボール連合の高澤伴枝氏はこう話す。

「確かにピーク時に比べれば愛好者は減っています。日本ゲートボール連合傘下の加盟団体会員数は、統計を開始した1996年には56万7232人でしたが、直近の2016年の統計では9万4073人にまで減少しています」

 統計を取る前の1990年頃の愛好者は会員以外も含めて600万人と推定され、現在は100万人を切るとみられる。また20年前には7000か所以上あったゲートボール場も、現在では約5200か所に減った。

 高齢者数は増えているのにゲートボール人口は激減している。この「パラドックス」にこそ、現代の高齢化社会の“特徴”が表われている。

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 ゲートボールは5対5で競うチームスポーツだ。欠員が出れば代わりを探さなければならない。これが“衰退”の大きな理由になっているようだ。東京都内で20年以上プレイする男性(83)は次のように語る。

「1年ほど前にリーダー格のプレイヤーが亡くなって、次を探すのが大変だった。うちはやってくれる人が見つかったからよかったけど、そのまま自然消滅しちゃうチームも多い」

 技術によってチーム内で序列ができるのは他のスポーツでも同じだが、チームの人間関係に亀裂が入りトラブルに発展したケースも少なくない。過去には、1999年に鹿児島県で、70歳の男性がゲートボール仲間の女性に腕前をなじられ、女性を包丁で刺殺する事件も起きた。

 こうした事件がメディアにより大きく取り上げられたことで、ゲートボール=トラブルの火種といったマイナスの印象を世間に与えたことも敬遠される一因とみられる。

「ゲートボールは老人のスポーツである」というイメージそのものも足枷になっている側面もある。

「20年ほど前までは、60歳で定年になったら地域のゲートボールチームに入会するという流れがあったのですが、最近ではそうした『現役引退のイメージ』をネガティブに受け止める人もいるようです」(高澤氏)

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