毎日新聞 4/17(月) 12:41配信
 ひったくり防止カバーのボタンが固すぎて取り付けられない−−。大阪府警が防犯キャンペーンで配った自転車のかごのカバーを巡り、
不良品を仕入れたとして支払いを拒否された業者が、イベント会社に約340万円の支払いを求めた訴訟が、大阪地裁で和解した。
不良品かどうかが争われた訴訟は、裁判官らが計200枚ものカバーを開けたり閉めたりする異例の「実験」を繰り返した末に決着した。

 ◇ボタン不良 イベント会社と業者が和解

 和解は3月22日付。訴訟記録などによると、キャンペーンは2014年秋、パチンコ業者らでつくる組合が主催。
組合の委託を受けた大阪市内のイベント会社が、同市内の業者にカバー約2万5000枚を発注し、業者は中国から仕入れた。

 カバーはビニール製で、自転車の前かごにかぶせ、底部のボタンで固定する仕組み。上部は巾着袋のように閉じ、ひったくりを防ぐ。
府警が警察署などで無料で配ったところ、利用者から「ボタンが固すぎて外れない。うまく付けられない」などと苦情が殺到した。イベント会社が代金の支払いを拒み、
業者が15年1月に提訴。イベント会社もカバーの作り直しと回収の費用がかかったとして157万円の損害賠償を求めて反訴した。

 裁判では、「ボタンを外せるかどうか」で両者が対立。40代の男性裁判官と30代の女性書記官が約3時間かけて
100枚ずつ実験したところ、問題なく外せたのは裁判官が71枚、書記官が60枚。

 3割以上が不良品という結果は原告の想定以上だったといい、裁判官の提案で両者が訴えを放棄する和解に応じた。

 府警によると、大阪府の昨年のひったくり件数は806件で、6年連続の全国ワースト1位。
自転車の走行中に被害に遭うケースが多く、防犯カバーの需要は高いという。【遠藤浩二】

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170417-00000042-mai-soci
最終更新: 4/17(月) 15:37
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