4.トンネル工学の専門家は

トンネル工学が専門の大阪大学の谷本親伯名誉教授は、JR東海が公開している地表の断面図を
見たうえで「事故のあった非常口は、固い地盤の上にさまざまな堆積物が重なっている場所で、
固い地盤に至る手前の壊れやすい強度の弱い層で工事を行っていた可能性がある」と指摘しました。

さらに「発破作業を行ったあとは、トンネルの壁に発生した亀裂などから表面が落下する『肌落ち』が起きやすく、
トンネル工事で一番危険な状態だと言える。表面で落ちやすくなった箇所を意図的に落とすなどの
危険をなくす作業の中で事故が起きたとみられる」と分析しました。

そのうえで「この作業はトンネル工事の常識的な作業なので、現場の監督がしっかり行われ、
熟練した作業員が工事を行っていれば、ほとんど起こらない事故だと考えられる。
このような事故がリニアの工事で起きたことを受け止め、原因を分析したうえで別の工事現場でも
共有しなければならない」と話していました。