「横浜市は、人口369万人と一つの国レベルの人が暮らす大きな都市ですが、市内は宅地などを進める”市街化区域”と、開発行為が原則として抑制される “市街化調整区域”に分かれていています。現在、市街化調整区域は横浜市の約4分の1程度で、農地面積は市全体の約7.3%(3,192ha、港北区と同じくらいの広さ)になります。畑は一度つぶしたら、二度と戻りません。農地が自然に増えることはありませんから、政策的に守っていかなければならない」と横浜市環境創造局農業振興課の鈴木雄也さん。

 「農地が身近にあれば、近くで暮らす人にもメリットは大きいです。新鮮な野菜や果物を食べられますし、緑豊富な自然景観は安らぎを与えてくれます。市民農園で余暇を楽しむなど生活にもぐっと幅が出て、より暮らしやすい街になります」。

 生産者と消費者が隣り合わせに暮らすから、採れたて野菜を新鮮なうちに消費者に届けることができる―。コマツナをはじめ、キャベツ、キュウリ、ジャガイモ、トマト、トウモロコシなど、横浜で生産される野菜は想像以上に種類も豊富です。「”少量多品種”が特長ですね。農家の方も、”自分の代も農業を続けたい”という高い意欲を持った方が多く、本当に研究熱心。若手を中心に勉強会を開いたり、新しい品種にチャレンジしたりと積極的です」。

 畑の近くに直売所を置く農家も多く、その数約1000カ所。その日の朝に収穫した野菜はもちろん、店によっては農家手作りの加工品も販売されています。これからの季節に楽しみなのは、夏野菜はもちろん、浜なしや浜ぶどうなどの地場産の果物。人気があるためスーパーなどには流通せず、購入できるのは直売所と宅配のみですが、毎年この時期を楽しみにしているファンも多いとか。「果物は特におすすめですね。一つ一つのサイズが大きいし、朝取りの甘みは格別ですよ」。

 「直売所で買った取れたてのトウモロコシは、特におススメです。地場の野菜をもっと味わってほしいですね、”はまふぅど生活”始めてください」。農家の推薦がないと登録できない”よこはま地産地消サポート店”(現在51店舗)などの制度もあるので、外食のときの参考に。