北海道で感染「第2波」なぜ起きた 札幌医大教授が分析
https://digital.asahi.com/articles/ASN5V6TZHN5TIIPE005.html?pn=4

死者が増えてきた最大の理由は、高齢の感染者が増えたことにある。
感染者数でみれば、80〜90代は60〜70代に比べて少ないが、死者数ではかなりの人数にのぼる。
病院や高齢者施設ではかなり大きなクラスター(感染者集団)が発生し、その連鎖も起きた。
リスクの高い人が圧倒的に多いところでクラスターが発生したことで、死者の増加に拍車がかかった。

 これらの施設では、外来診療を休む、面会を制限するなど、相応の対策を取っていながら
ウイルスが入り込んでしまった。それだけ市中感染が気づかないうちに進んでいて、
しかも一気に広がったということだ。
時期的には、道独自の緊急事態宣言が3月19日に解除されてまもなく年度末となり、
人の移動が増えて海外や本州から持ち込まれ、第2波につながったと考えられる。
ただ、第1波は制圧しているので、「手を緩めたから再燃した」という批判はあたらない。

さっぽろ雪まつり(大通会場は2月4〜11日)以降の第1波をもたらしたと思われる中国の観光客たちは、
さほど市民生活には入り込まなかったのに対し、第2波をもたらしたのは道内で生活する海外渡航者や帰省者で、
市民生活に広がる度合いは第1波の比ではなかった。
感染は表に見えないまま広がり、あちこちで火の手が上がった。それが不幸にして病院や高齢者施設に入ってしまった。

 なかでも北海道がんセンター(札幌市)は道内のがん治療の拠点病院で、道内のあらゆる地域から患者を受け入れ、
治療後は地域へ戻っていく。その過程で道内の他の地域で感染者が出たケースがあった。
利尻島で感染者が発生したのが典型だ。このウイルスが広がる要因として、長距離の移動、都市間移動が、
かぎを握っているように思える。

 性別や年代別の感染者数に注目すると、4月半ばの段階では男性は50代が突出していたが、
女性は50代と20代、二つのピークがあった。当初、感染を広げるおそれがある場所として挙げられた一つに、
接待を伴う飲食店があった。20代の女性の多さは、そうしたこととも関係しているのかもしれない。

 女性の場合、4月後半以降も20〜30代が男性に比べて多いが、第1波と異なり看護師や介護職が多い。
大規模イベントや飲食店などクラスターになりそうな場所の大半は閉じており、
残っていたのが病院や高齢者施設だったからだ。