愛知までが日本

十世紀初頭に成立した「延喜式」29には、犯罪を犯した者が流される地域をその罪の軽重により、遠流・中流・近流と京都からの距離により、三地域に分類している。
ここに見られる遠流の諸国は伊豆・安房・常陸・隠岐・土佐の諸国である。中流地は信濃・伊予の両国であり、近流地は安芸と越前である。
古代においては罪が穢れと意識されていたことにより、遠流地は穢れの追放場所として意識されていた。東国については伊豆・安房・常陸あたりが穢れ地であり、国家の周辺地として意識されていたものとみなされる。
王都である平安京から離れれば離れるほど王権は弱くなり、穢れが強くなるという観念が古代・中世には強く存在していた。東国(坂東)の入り口である伊豆国は境界の地であり流罪の国としても有名である。
源頼朝をはじめとして伊豆に流された「犯罪者」は数多く存在した。畿内では伊豆は鬼が出現すると信じられていた説も有り、異類異型が出没する地域とみられていた。伊豆の国以遠の東国の諸国については推して知るべしである。