6〜7月に上演された、斎藤演出の新作「フレップの花、咲く頃に」を見た。

 作者は青森県出身の山田百次(ももじ)(40)。東京で劇団を作り、劇作、演出、俳優をしている。
江戸末期、幕府の命令で蝦夷地の警備に送られた津軽藩士が大勢亡くなった史実をもとにした戯曲
「珈琲(コーヒー)法要」を13年に書いて以来、度々、北海道を題材にしてきた。
「北海道の歴史から、政治の無責任や問題点がよく見えます。中央から遠い所に矛盾はより強く現れる。
現代の社会を考えることにもつながる」と言う。

 「フレップの――」では、45年の敗戦を樺太(現サハリン)で迎えた日本人夫婦が、朝鮮、樺太アイヌ、
ロシアの人たちとともに暮らす一時期を描いた。サハリン出身で札幌在住の女性も出演。劇中、ロシア語字幕も出した。

 斎藤は「海外との交流は劇場の一つの柱」と位置づけている。劇場のラインナップにはロシアや韓国の劇団も並ぶ。
外国人観光客に見て欲しいとも考えている。

 「青森も東京も海外ですからね」。地元に凝り固まらず、風通し良く。それもまた、魅力につながる。