この財団、成り立ちがユニークだ。

 こうした公益法人は、地方自治体や企業が作ることが多い。だが、この財団は、優れた演劇を見る機会を増やし、
舞台作りや人材育成の環境を良くしようという目的に賛同した個人や団体、地元企業などがお金を出し合って、1996年に設立した。

 財団が運営する「扇谷記念スタジオ・シアターZOO」(2001年開場)の開設も民間の力が大きかった。
場所は道内の企業から無償で譲られ、改装工事の費用も個人や団体が寄付で後押しした。
劇場に冠した名前は、札幌で長く小劇場を造ろうと努力した俳優・扇谷治男にちなむ。亡くなった本人の思いを継ぎ、妻が多くの資金を援助した。

 札幌市中央区、中島公園の緑と向き合うマンションの地下にシアターZOOはある。階段を下りると、ゆったりした
ロビーの奥に90席の劇場、稽古場も広い。