どうして“初音ミクの会社”は札幌にあり続けるのか? ミク“生みの親”が考える「地方創生」
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札幌ってちょうどいい大きさなんですよ
――「音の商社」として設立されたこちらの会社ですが、95年からずっと札幌にあるんですか?

伊藤 そうです。もともと僕は札幌にある北海道大学工学部の職員だったんです。それで、世間よりは早くインターネットが整備された場所にいたものですから、
この技術を使えばいろんなことができるな、と感じて、お話ししたように音の売買を事業にした会社を札幌で登記したんです。
でも、札幌にお客さんはほぼいないんですよ。効果音を買ってくれる放送局や映画会社、ゲーム制作プロダクションは東京に多いですから。

――東京に会社を移したほうが何かと便利だったのではないですか?

伊藤 でも、せっかくインターネットが整備され始めて、そのおかげでオンラインで音を販売できるんだったら、何も東京に会社を置くこともないかなと。
それよりも、どういうネットのデザインにしたらお客さんに対して訴求力が高くなるかとか、そういうところから事業を組み立てることに傾注したんです。
それに、札幌ってちょうどいい大きさなんですよ。

――ちょうどいい大きさ?

伊藤 ミラノやミュンヘンは人口140万人前後ですが、世界のハブになっていますよね。札幌の人口は190万人。札幌だってじゅうぶんハブ機能を持つ都市になれるはずです。
そういった意味でもちょうどいいし、もともとIT系の企業を育む土壌がある土地でもあるんです。いわゆる「サッポロ・バレー」と呼ばれる所以でもあるんですが。