スズキ・ヤマハが本気を出した浜松市 「財政健全化」の実態   2018.2.11

浜松市は財政的に健全な状態にある。
2014年度から全国20の政令指定都市の中で唯一、将来負担比率(※)がマイナスとなった。
また、日本の構造研究所が発表した「全国知事・政令市長財政再建ランキング」の政令市長の部において、鈴木康友市長は堂々の1位となった。

浜松市はなぜ財政健全化を進めることができたのだろうか。
まず、鈴木市長が誕生した背景にあったのが、スズキ株式会社(以下、スズキ)代表取締役会長の鈴木修氏ら、地元経済界の有力者の不満だ。
「行財政改革が足りない」と、前市長の市政運営に意見を示していた。

鈴木市長の就任後、浜松市は第2次『浜松市行財政改革推進審議会(以下、行革審))を組成し、会長にはスズキの鈴木修会長、そして、会長代行にはヤマハの伊藤修二特別顧問(当時)が名を連ねた。
行政、財政の改革を進める行革審は、第1次〜第4次まで存在。
メンバーには地域の有力企業トップのほか、学術界、NPOなど、様々な組織から委員が集まった。

行革審は馴れ合いではなく本気の改革を実現する意思があった。
同時に、気概を持った行革審の存在だけでは改革が進まなかったという事実を、鈴木修氏の言葉から読み取ることができる。
具体的な施策として、『行財政改革推進審議会“事務局”』という、市の職員とスズキなどから派遣された若手による官民混成チームを作ったことがあげられる。
行革審はチェック機能の役割も果たした。
たとえば、第4次行革審の中間答申書では、市が「答申どおり実施」したものが306事案ある、と報告したものに対して厳しく査定をしている。

浜松市行革審の特筆すべき点は、このような徹底した実行力だ。
行政の主宰する有識者会議は各委員の意見主張に終始し、実行や意思決定を伴わないことも多いといわれる。
しかし、自治体は本来、政策以上に執行を担うべき存在である(現実には自治体が政策立案をしている面が強いが)。

この浜松市の事例を、「スズキとヤマハがいたからできた」で終わらせるのはもったいない。

http://diamond.jp/articles/-/159023
http://diamond.jp/articles/-/159023?page=2
http://diamond.jp/articles/-/159023?page=3
http://diamond.jp/articles/-/159023?page=4
http://diamond.jp/articles/-/159023?page=5

この記事からも、浜松市がトップレベルの都市経営ができてる理由は、市の実力ではなく、世界的大企業トップらが市の経営の指導・協力に直接加わっている事だと言える。