“ギャンブル依存症” 明らかになる病の実態”
ゲスト田辺等さん(北海道立精神保健福祉センター所長)

脳は具体的にどう変化する?

ギャンブルで勝った体験が、強烈に脳の記憶に刻印されてしまうんですね。
そのために、繰り返しその刺激を求めていくと。
ギャンブルで勝った時の体験がイメージされて、それが強烈な欲求になってくると。
結果として、ほかの娯楽や、ほかのゲームでの快感というものがあまり感じられなくなって、
そういうギャンブルに特異的に反応するような、脳の機能変化が起きてくるんですね。

●どんな人がギャンブル依存症に陥る?
8割方はごく平凡なサラリーマン、公務員、主婦、大学生、あるいは年金生活者です。
ギャンブルの問題が始まるまではごくごく普通に生活を営んでいた人が8割方で、2割方には、少しうつのような方もいらっしゃいます。
ですが、ほとんどの方は、このギャンブルの問題が始まるまでは、ごく平凡な主婦であったり、サラリーマンであった。
ですから私のところに相談に来たご家族が、こんなふうなギャンブル依存症なんて病気はなかなか認められない、先生の言うことは信じられない、だけども私の妻がお金を持ち出して、パチンコやスロットをやって、たくさんの借金を作って帰ってくる。
それがだめだと言って、立ち直ると約束しても、まだ陰で隠れてやっている。
あげくの果てにほかの人の玉にまで手をつけようとする、そのようなことを説明するのには、これはギャンブルの病気になったと受け入れるしかないと、そんなふうにおっしゃるんですね。
もちろん息子さんの場合でも、大学生の息子が、高校まではスポーツも学業も、それから生徒会の役員もやってた。
なんであれが、うちの息子なんだろうというような、そういうこともあるんですね。
そのぐらい病前は普通の方が多いです。