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(続き)

 ◇「安倍―菅」政権が利他を説く矛盾

 思えば安倍政権以降、国民への説明責任に背を向ける場面が繰り返されてきた。
森友・加計問題、統合型リゾート(IR)汚職、検察人事への政治介入、日本学術会議会員の任命拒否、
そして極めつきが桜を見る会前夜祭をめぐる「首相のウソ」とその言い訳である。

 根本的な規範意識に欠け、政権とその身内の保身を優先してきた「安倍―菅」政権がコロナ禍に際して
国民に自制を強い、利他の精神を説く矛盾。だが、それを指摘したところでコロナとの闘いは終わらない。

 ただし、政権に厳しい世論を突きつけることで政策の修正を図らせることはできる。
昨年末、菅首相がGoToの継続方針を撤回したのは、報道各社の世論調査で内閣支持率が急落したからだ。
かたくなに否定していた緊急事態宣言の発令に踏み切ったのも、世論の後押しを受けた知事たちの要請を受けての判断だ。

 社会調査研究センターと毎日新聞の世論調査は、携帯電話のショートメールで回答画面へのリンクを送る方式と
、固定電話で自動音声応答(オートコール)の質問に答えてもらう方式を組み合わせて実施している。
音声通話よりSNSのやり取りに慣れた若い世代の声を捕捉するのに適した調査方法だ。

 12月調査では、50代以下が多い携帯調査の内閣支持率が44%だったのに対し、60代以上が多い固定調査では31%と、
明確な差が生じていた。それが1月調査では携帯、固定ともに33%で並んだ。
大きな変化を求めない傾向のある日本の若年層にも明らかに政権への不満が募っている。

(続く)