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(続き)

 コロナ禍はウイルスとの闘いであり、誰が良い悪いと言い募って解決する問題ではない。
1月調査では感染拡大に対する考え方についても質問し、「行政の責任が重い」40%、
「感染対策を守らない人たちが悪い」30%、「新しいウイルスなので仕方ない」29%と回答が割れた。
その中では行政への不満が強いとは言えるが、世論の矛先が行政のみに向けられているわけではない。

 ◇伝わらない首相の言葉

 それでも内閣支持率が急落する事態を招いたのは、ほかでもない菅首相のコロナ失政なのだろう。
「GoToキャンペーン」にこだわって感染対策が後手に回ったのは誰の目にも明らかだ。
それが「国民の命を軽視する政権」というイメージを若い世代にも植え付ける結果になったのではないか。

 そうだとすれば、菅首相がコロナ禍で失った国民の信頼を取り戻すのは容易ではない。
緊急事態宣言を発令する際、不要不急の外出自粛やテレワーク7割を呼びかけた菅首相の
メッセージが国民に伝わっていると思うかを1月調査で尋ねたところ、「伝わっていない」との回答が80%を占め、
「伝わっている」は19%にとどまった。

 国家的危機への対策で国民に大きな負担を強いるからには、国民の納得を得られるに足る
政治リーダーの説得力が必要だ。最悪の事態を想定すべき危機管理において根拠なき楽観論を
押し通したのがGoToである。感染対策と経済対策の両立を図る難しさは理解できても、
専門家が警鐘を鳴らしていた第3波への備えを怠り、そのツケを国民に回す政権トップの振る舞いを
擁護する声は政府・与党内でも希薄だ。

 菅首相に対しては原稿の棒読みや口下手を批判する声をよく聞く。だが、それ以前の問題として、
国民に聞く耳を持ってもらう姿勢が問われているのではないか。

(続く)