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(つづき)

 2020年は安倍氏にとって華々しいレガシー(遺産)に満ちた年になるはずだった。

 習近平(シーチンピン)・中国国家主席を国賓に迎え、東京五輪・パラリンピックを成功させ、憲法改正に手をかける。
その夢を砕いたのは持病の悪化だけではない。

 「1強」の看板が通じないコロナ禍に立ちすくみ、国民の命と健康、経済と雇用を守る使命を果たせない
政権の弱さが目に見えたからではなかったか。

 ■コロナ禍機に転換を

 菅首相に代わっても、コロナ禍への対処は相変わらず鈍く、場当たり的だった。要因に首相の「孤立」が指摘される。

 最長内閣を裏方として仕切った菅氏。その強面(こわもて)が表舞台に立ったいま、「物言えば唇寒し」の空気を政官界に広げ、
批判も意見も届かない裸の王様になってはいないか。強権政治の弊害と限界が見て取れる。

 危機の時代に、「間違っても貫く」強権政治は機能しない。「間違ったら正す」民主政治こそ力を発揮しうる。

 菅首相肝いりの「Go To トラベル」は、首相が停止しないと語った3日後に一転、年末年始の全国一斉停止を余儀なくされた。
世論の批判に追い詰められた形だが、「過(あやま)ちては改むるに憚(はばか)ることなかれ」と論語は教える。
次は、日本学術会議会員に任命しなかった6人を改めて任命してはどうか。

(もうちょっとだけ続くんじゃ)