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(つづき)

 ■積み重なる「おごり」

 だがこの判決後も、国会審議を忌避する安倍・菅内閣の姿勢は変わらない。たまにしかない首相答弁なのに、
菅氏は前任者以上に原稿棒読み、「お答えを差し控える」を連発する。

 言論のない、言論の府の荒涼たる光景が広がる。

 菅首相の原点なのだろう。著書「政治家の覚悟」で何度も強調されるのは、人事権をテコに官僚を操った自身の過去だ。

 「政治が決断したことに、たとえ霞が関が反対意見を持っていようと、動いてもらわなければならない」

 選挙で多数を得た与党政治家がすべてを決める。そんな安倍・菅流民主主義が端的に表れたのは、
税金で賄われる「桜を見る会」を、首相の特権のように扱う安倍氏の公私混同だ。

 後援会主催の前夜祭の費用補填(ほてん)をめぐり、安倍氏の秘書が政治資金規正法違反の罪で略式起訴された。
氏自身は訴追されなかったが、国民とその代表たる国会に虚偽の説明をくり返した責任は議員辞職にも値する。

 森友・加計疑惑、検察人事への介入、そして「桜」。最長内閣の足元に「多数のおごり」が地層のように積み重なった。

(つづく)