B-25はいかに「死神」だったか 毎分7700発の機関銃モンスターと化した「襲撃機モデル」
12/29(火) 6:20配信 乗りものニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/b08268a71da8a1e4a121f1a8e222453c9f6a1268

太平洋戦争も中期以降になると、日本の航空戦力は衰えて、守るべき島々や輸送船団の上空の制空権すら維持できなくなりました。
かくして、B-25としては「やりたい放題」ができる状況が現出するようになります。

そこでB-25の高い兵装搭載量を生かすべく考えられたのが、大量の機関銃を装備し高い対地(対艦)攻撃能力を備えたモデルでした。
爆弾やロケット弾は、1回程度の攻撃で使い切ってしまいますが、機関銃であれば反復攻撃を加えることが可能です。
爆弾やロケット弾の攻撃が終わった後、機銃掃射を加えるために上空にとどまり続けられると、襲われる方、すなわち日本軍からしてみれば、きわめて厄介な敵となります。

12.7mm重機関銃の発射速度は毎分550発ですが、これを前出のB-25は8挺も搭載したので、合計すると実に毎分4400発が前方に向けて発射される計算になります。
実戦では超低空で攻撃中のここぞという時に10数秒間だけ射撃するので、1回の斉射で撃つ弾数は1000発程度ですが、12.7mm弾の威力から見れば、これは恐ろしい掃射です。
12.7mm弾がどれほど強力かというと、徹甲弾であれば日本の駆逐艦や軽巡洋艦の外板程度は容易に貫通するほどで、小型の輸送船などは機関銃掃射だけで沈められてしまうこともしばしばあったようです。

太平洋戦争後半、護衛の戦闘機もつかず、有力な対空火器も備えていない日本の輸送船団にとって、B-25低空襲撃機による攻撃は、こちらが沈むまで何度も襲い掛かってくる「死神」のような存在だったのではないでしょうか。
戦争を扱ったドキュメンタリー番組などでは、太平洋戦争中の記録映像として、周囲の海面が機関銃掃射の水柱で包まれた日本の小型輸送船のシーンが使われることがあります。
これは、まさしくB-25低空襲撃機のガンカメラが捉えた映像なのです。まさにあれこそ、低空襲撃の恐怖を示す証拠といえるでしょう。