安倍政権の「火事場泥棒」ここにも…柴咲コウも怒った種苗法改正の闇 2
政府は何を狙っているのか?
小川 匡則週刊現代記者2020/05/11
実際、2017年に農水省食料産業局知的財産課は文書で次のように記している。

「国際条約(UPOV条約)により育成者権は、国ごとに取得することが決められています。
このため、海外で品種登録されていない場合は、その国で育成者権は主張できません」

「対策としては、種苗などの国外への持ち出しを物理的に防止することが困難である以上、
海外において品種登録(育成者権の取得)を行うことが唯一の対策となっています」
(農畜産業振興機構HPより)

つまり、シャインマスカットのような優良品種の海外流出を本気で防止したければ、
今回の改正案は直接的な対策にはならないのだ。

山田氏はこう続ける。

「そもそも半年くらい前までは、農水省は種苗法改正案を『自家増殖の一律禁止』で取りまとめて
いました。ところが、私がそのことをネットで指摘したら大きな反響があり、
農水省は慌てて『登録品種で許諾を受けていない自家増殖は禁止』などという文言に変えました。
これは単なる批判逸らしで、狙いは当初から変わらず『自家増殖を禁止すること』なのです」

「布石」は打たれていた
今回の改正案で、自家増殖がいきなり全面的に禁止されるわけではない。
農水省は農産物の品種を「登録品種」と「一般品種」に区分し、
「登録品種」に関しては「育種権者から許諾を得た場合に限り」自家増殖を認めるとしている。
一見すると、多くの農業者には影響なく、それでいて育種者の権利を守れるようになるのではないか、
とも見える。
それでも多くの農業関係者が「自家増殖禁止」を懸念するのは、
これまでの「安倍農政」の経過を見てきたからである。

「民間事業者に渡せ」の意味
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72491?page=2