「コロナまき散らす」発言で釈明文書 旭川医大学長 井上潜、本田大次郎 2020年12月17日 19時50分

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く北海道旭川市で、旭川医科大学の吉田晃敏学長が
コロナ対応の医療体制を巡り不適切な発言をしたと「文春オンライン」が16日報じた。
大学側は17日、発言があったことは認め、「関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけした」としたうえで
「(音声の)切り取られ方が本学、特に吉田学長の意図と
かけ離れたものと言わざるを得ない」などとするコメントを出した。

 文春オンラインによると、吉田学長はクラスター(感染者集団)が発生した市内の吉田病院について、
11月17日にあった学内の会議で「コロナを完全になくすためには、
あの病院(吉田病院)が完全になくなるしかない、ということ」
「この旭川市に吉田病院があるということ自体が、ぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅとコロナをまき散らして」などと
発言したとされる。文春オンラインは吉田学長のものとされる音声データも公開した。

 これを受け、旭川医大は17日に吉田学長名でコメントを公表。
「音声は大学運営会議でのものと認められます」と認めたうえで、
「『なくなるしかない』といった私の発言は、吉田病院の閉鎖等を望むことを意味するものではありません」
「なくなるしかないのは、吉田病院ではなく、吉田病院の新型コロナウイルス感染症です」などとし、
「不適切な発言であったと深く反省しています」とした。

 「まき散らす」という発言については、吉田病院からコロナ患者を受け入れた他の病院で
「院長自らが『医療崩壊』という激しい言葉で現状を語る事態に
陥っていることを説明した際に使われた表現」などと説明している。

 文部科学省国立大学法人支援課は朝日新聞の取材に対し、
「大学に対し、学長の発言の事実確認を進めており、結果を踏まえて対応を検討する」としている。

 吉田病院では11月初めにクラスターが発生し、入院患者や職員の間で感染が拡大。
今月17日時点で計207人が感染する大規模クラスターとなっている。
鈴木直道知事の災害派遣支援の要請を受け、今月9日には
自衛隊の看護官ら5人が治療の支援に入った。(井上潜、本田大次郎)(以降登録記事)
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