なお、発端となったYouTube動画のほかにも、ネット上のトレンドを紹介し、「戒●令の予
告!」などとする動画もあった。これも、40万以上再生されている。このチャンネルでは
「ペロシ逮捕」「緊急放送システム」についての動画も複数投稿しており、やはり数十万
回再生されていた。
SNSで広がる噂やYouTube動画で話題になった情報が、インフルエンサーやまとめサイトに
よって拡散。Twitterのトレンド欄に載ることでさらに多くの人の目に止まり、「トレンド」
の紹介として別のコンテンツを通じて広がるーー。

まるでネズミ講のような経路を通じて、陰謀論は広がっていった。結果として1月13日現在、
アメリカで戒厳令は出ておらず、緊急放送システムは使われず、ペロシ議長も逮捕されていない。
しかし、陰謀論だけがいまだに一人歩きしている。

陰謀論でお金稼ぎ?
「戒厳令」を拡散していた動画をアップしたチャンネルには、様々な陰謀論が並ぶ
こうした陰謀論などの拡散に寄与しているコンテンツの多くが、主要メディアの報道に懐疑
的でこうした情報を信じてしまう人のアクセスを狙った収益目的である可能性は、否定できない。
YouTube動画は、チャンネル登録者数など一定の条件を満たせば収益化できる。紹介したまと
めサイトにもバナー広告が多数表示されている。

また、ユーザーによって多く検索されるキーワードを先回りして検索エンジンの上位表示を
狙って広告収入を稼ぐ狙いがある「トレンドブログ」でも、関連するキーワードで複数の存
在が確認された。

これは、まったくの誤情報をニュースサイトのように配信することで広告収入を稼ぐ、いわ
ゆる「フェイクニュースサイト」の収益構造と同じだ。
まとめサイトやトレンドブログに関しては、SNSでの拡散を狙うことで、中堅サイトでも月収
100万円の広告収入を得ているということが、BuzzFeed Newsの取材でもわかっている。

今回の拡散に寄与したまとめサイトは、これまでたびたび疑義のある言説を広げているサイト
でもある。たびたびTwitterのトレンド上位に食い込むこともあり、一定程度の収益をあげて
いるものとみられる。