米メリーランド大学のジェンセン上級研究員は議会占拠に「過激派団体に属さない多くの人々
が参加した」ことに着目する。「トランプ氏らが極右の陰謀論を政治的に得策と見なし、イン
ターネットの陰の片隅から主流に押し出す重要な役割を果たした」と指摘する。トランプ氏が
大統領選で不正があったなどとする根拠のない陰謀論をツイッターや日常的な演説など大統領
職を利用して拡散し、誤情報が大衆に広がりやすい土壌ができていたとみる。

米紙ワシントン・ポストによると、事実誤認や誤解を招くトランプ氏の発言回数は大統領就任
後3万回近くにのぼった。それでもトランプ氏が20年の大統領選で7000万票を超える票を得たの
は誤情報を信じ、扇動されやすい多数の支持者がいたことを示す。

トランプ氏は占拠事件直前に根拠を示さずに大統領選で不正があったと主張し「決して敗北を
認めない」と強調した。この主張を信じたトランプ氏の支持者が民主党のバイデン氏を次期大
統領に選出する手続きを行っていた議会に乱入するきっかけをつくったとの見方は多い。