・新自由主義は右翼と言えるのか?

規制緩和、小さな政府、格差拡大…小泉純一郎は本当に「右」だったのか?
浅羽通明
インターネット上で飛び交う、「ネトウヨ」「パヨク」といったワード。しかし、
そもそも「右翼」「左翼」の違いをきちんと理解しているのでしょうか? 評論家、浅羽通明さんの著書『右翼と左翼』は、
フランス革命から現代へといたる歴史をひもときながら、その定義や「ねじれ」を鮮やかに解説した一冊。
知らないで使っていると恥ずかしい、「右翼」「左翼」という言葉の本当の意味がわかる本書から、一部をご紹介します。

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「左翼」から見れば「右」だが……
一見、勝ち誇っているかに見える「右」もまた、敵であった「左」の「理念」が、総崩れとなったのを眺めてそれ見たことか、
現実を見やがれと喝采しているばかりで、その現実を率いてゆく自分たちの「理念」を対置できたとは今のところとてもいえません。

近代日本において、戦前の「自由」「デモクラシー」「社会主義」、戦後の「平和主義」といった「理念」も、
未来を志向する「進歩的」で「革新的」なものでしたが、古代の権威を近代国家のカリスマへと変貌させた明治の天皇制や、
占領軍に与えられた戦争放棄条項と冷戦下のアメリカの軍事的利害の隙間を突いた吉田ドクトリンといった構想もまた、
極めて「創造的」でした。

明治の「右翼」が唱えた対外拡張主義も、当時の最先端をゆく発想ではありました。現在の「右」に、
こうした前向きの構想があるでしょうか。
https://www.gentosha.jp/article/16174/