「メトホルミン」が寿命を延ばす アンチエイジング効果を確かめる試験
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「メトホルミンに寿命と健康でいられる期間を示す健康寿命が延ばすアンチエイジングの効果があると期待しています。糖尿病患者だけでなく健常者でも、抗加齢の効果があるのではないかと考えられます」と、バルジライ教授は言う。
英国で行われた大規模研究「UKPDS」では、メトホルミンは他の治療薬と比べ、2型糖尿病患者の動脈硬化を抑制し、心血管疾患の発症リスクを減少させることが確かめられた。
米国立老化研究所の研究では、メトホルミンを投与したマウスはそうでないマウスに比べ、寿命が5%延びることが明らかになっている。
メトホルミンを投与したマウスは摂取カロリーが減り、コレステロール値が下がり、腎臓病やがんの発症が減っていた。

また、バルジライ教授らの研究チームが、約7万8,000人の糖尿病患者と約7万8,000人の糖尿病ではない人を対象とした大規模研究では、
メトホルミンによる治療を受けている糖尿病患者は長生きすることが示された。メトホルミンを投与された70歳代の糖尿病患者は、糖尿病でない人に比べ死亡率が15%減少した。

メトホルミンにがん予防の効果があるという研究も多数報告されている。糖尿病患者はがんの発症リスクが高いことが知られている。
インスリンおよびインスリン様成長因子が一部のがんを促進し、また2型糖尿病患者は診断される前に血液中のインスリンレベルが高い状態が何年も続いていることが多いからだ。

メトホルミンはインスリン産生量を増大させないため、がんの成長を抑える可能性がある。
また、がん抑制遺伝子を活性化する作用があり、血管にダメージを与える活性酸素が増えるのを防ぐ抗酸化作用もあると考えられている。

メトホルミンは、これまで広く使用されてきた経口糖尿病薬であるSU剤と比較して、体重増加が認められず、インスリン抵抗性を改善する効果があるなど、メリットが多い。
多くの研究者は、使用実績が多く、さらに後発医薬品でも入手可能なために安価であることから、最善の選択肢のひとつだと結論している。