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[FT]バイデン氏、うってつけの人をCDC所長に
最も大きなサプライズ人事の一つ
2020年12月10日 15:56 Financial Times

米食品医薬品局(FDA)が数日中に新型コロナウイルスワクチンを承認しても、マサチュー
セッツ総合病院はロシェル・ワレンスキ氏の承認が得られるまでは患者に推奨しないだろう――。

ワレンスキ氏は同病院の感染症部門を率いる医師だ。医療データを読み解く能力に同僚が寄
せる信頼は厚く、病院としてワクチンの臨床試験結果を受け入れる前に、まず彼女に確認し
てもらいたいと考えているほどだ。
とはいえ、ワレンスキ氏は政府関係者の間で名の通った存在ではなく、米大統領選で当選を
確実にしたバイデン前副大統領が苦境の米疾病対策センター(CDC)の次期所長に指名したこ
とは、これまでのところで最大の、そしておそらく最も重要なサプライズ人事の一つだ。

「全く意外な人選だった」とハーバード大学のバリー・ブルーム教授(公衆衛生学)は話す。
「(バイデン氏の)コロナ対策チームのなかで誰が彼女を知っているか、知りたいところだ。
誰も候補とは思っていなかっただろう」

医学研究者からはワレンスキ氏の指名を聞いて大喜びしたとの声が上がっている。デューク大
学のギャビン・イェミー教授(国際保健政策)は「彼女が選ばれたと聞いて涙がこみ上げた」
と語る。「トランプ政権がこの4年間、科学を見くびって反科学的な考え方を広め、CDCにあれ
これ干渉してきただけに、科学界は今、深い安堵の息をついている」

エイズ研究で名を上げる
バイデン氏は7日に保健分野の人事を発表し、厚生長官にはカリフォルニア州司法長官で元下院
議員のハビエル・ベセラ氏を指名。医務総監にはオバマ前政権で同職を務めたビベック・マーシ
ー氏を再び充てると発表した。