■妄想が生まれる病気
様々な病気で妄想が生まれます。

統合失調症の妄想は、普通の人から見ると了解不可能な妄想を持つことがあります。「全国民が私を見張っていて、毎日のテレビニュースで私のことを言っている」といったものです。了解不可能とは、「そういうふうに感じることって、あるよね」とは思えないことです。

統合失調症でも、妄想型の統合失調症では、他の心の症状は少なく、妄想が主な症状になります。現実的な妄想内容のときもあります。

うつ病で、妄想を持つこともあります。自分の家には全くお金がないとか、子どもの人生はもうおしまいだとか、現実にはそんなことはないのに、そう思い込むこともあります。

妄想性障害は、統合失調症でもうつ病でもなく、妄想だけがあるという精神疾患です。他の面では待ったく問題がなく、ただ妄想だけを持っています。

以前私の講演会場でお会いした方は、「若者の脳にはチップが埋め込まれている。これを取り除かなければ少年犯罪も少年の自殺もなくならない」とおっしゃっていました。日常生活はだぶんまったく問題のない方です。

私に、大量の資料を送ってきて、何とかしてくれと依頼してきました。そのために努力していないことを強く責められました。資料の内容の一つひとつは正しいものです。ただ、「若者の脳にはチップが」という結論は間違っているのですが。

また、妄想性パーソナリティー障害は、妄想性障害よりもさらに現実的にも十分ありうる内容を妄想的に信じ込んだりする人々です。とても疑い深くて、人の善意を信じられない人とも言えます(妄想性パーソナリティ障害の人が妄想性障害になることもあります)。