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(続き)
 ――設立68年の上代文学会の声明は、皇紀2600年の奉賀があった1940年、
「古事記」「日本書紀」に記された歴代天皇の実在性について
疑問を呈した歴史学者、津田左右吉の弾圧事件にふれています。

 品田悦一 学術会議問題をめぐる目下の情勢が、昭和の大戦に向かう状況と重なります。
言論統制へと至りかねない重大な曲がり角であると危惧しています。

 既に1930年代初め、弾圧と懐柔、世論操作は始まっていました。
国民精神文化研究所という文部省の外郭団体が設立され、御用学者が集められた。
33年、京都帝大法学部の滝川幸辰教授が危険思想を理由に休職処分になり、
教授陣は辞表提出など大学自治を訴えたものの、権力の手で切り崩されていきました。
抵抗しても無駄だというアパシー(無関心)が広がり、
2年後に起きた、貴族院議員の美濃部達吉・東京帝大名誉教授の
天皇機関説事件の際には、学者たちの声は大きな反対のうねりにならなかった。

 その後、「国体の本義」のような読本が中学生以上の生徒や教師に配られ、露骨な情報操作と
イデオロギー操作が常態化する。津田の弾圧はその延長線上に行われたものです。(以降有料記事)

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