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新聞週間 社会を知る手がかり届けたい
2019/10/14 05:00
ttps://www.yomiuri.co.jp/editorial/20191013-OYT1T50174/

新聞記事が、視野を広げる手がかりとなったのだろう。

 学校現場では新聞を活用した授業が行われている。環境や少子化などのテーマについて記事を読み比べたり、
文章にまとめたりする取り組みだ。多角的な記事で様々な視点を提供し、子供の思考力や表現力の向上に役立ちたい。

 近年、情報をインターネットで得る人が増えているが、ネット情報には不正確なものも多い。

 読売新聞の世論調査では、ネット上の偽情報を信じたことがあると答えた人が4割を超えた。新聞への期待で最も多かったのは、
情報を正確に伝えることだった。丁寧な取材を重ね、正確な報道をする責任を改めて痛感する。

 気がかりなのは、重大事件で被害者らの実名が公表されない事例が目立つことである。
京都アニメーション放火殺人事件では、京都府警が犠牲者の名前を公表するまでに長い時間がかかった。遺族の意向を確認しながら判断したためだ。
報道機関が実名公表を求めるのは、社会の一人ひとりが事件を現実の問題として受け止めるために具体的な情報が必要だからだ。
実名報道には、匿名の「誰か」ではなく、人格を持った一人の人間として被害者の尊厳を大切にする意味も込められている。
無論、被害者や遺族のプライバシーには最大限、配慮しなければならない。被害者に寄り添う姿勢を忘れないようにしたい。
ネット時代を迎え、実名が公表されることにより、SNSで心ない書き込みをされるリスクが高まっている。被害者らの不信を招いている面があるのは否めない。
無責任で不確かな情報をネット上に発信する行為が、結果として、「知る権利」を損ないかねないことを認識しなければならない。
10月の消費増税で、新聞には軽減税率が適用された。民主主義を支える社会の公共財としての責務を重く受け止めたい。