「100%再エネ」実は通常電力 環境省水素ステーション事業―会計検査院 2020年11月10日13時32分

 太陽光発電など再生可能エネルギーのみを利用し、水素を製造する
「再エネ水素ステーション」を普及する環境省の補助事業を会計検査院が調べたところ、実際には
補助金を受けたほとんどの施設が通常電力を購入していたことが10日、決算検査報告書で分かった。

 再エネ水素ステーションは、水を電気分解して製造した水素を燃料電池車(FCV)に供給する施設。
水素製造の電力に再エネのみを利用することが補助金の要件とされ、
事業が始まった2015年度以降、1府18県に27カ所設置された。

 このうち運用開始から1年以上経過している19カ所を検査院が調査したところ、
既存の再エネ発電設備を利用した12カ所全てで通常電力を購入していたことが判明。
新設した7カ所中5カ所でも、再エネの割合は20.4〜93.5%で、足りない分は通常電力を購入していた。

 この17カ所には、国の補助金約19億3200万円が充てられており、
検査院は「審査が十分に行われていないのは不適切。事業の継続の可否を含めた
抜本的な見直しを行う必要がある」と改善を要求。環境省は20年度の新規募集を取りやめた。

 事業は東京五輪・パラリンピック関連経費として計上されていた。
環境省は「脱炭素社会に向け、今後の在り方を有識者会議で検討したい」としている。

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