https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66002430Z01C20A1FF1000/
全人代常務委、香港民主派議員の資格剥奪か
2020/11/9 19:22

【香港=木原雄士】複数の香港メディアは9日、中国の全国人民代表大会(全人代、国会)
が香港立法会(議会)の民主派議員の資格剥奪を検討していると報じた。10〜11日に開
く常務委員会で少なくとも4人の資格剥奪を決める可能性があるという。

民主派議員19人は9日、緊急会見を開き、資格剥奪が決まれば集団辞職すると表明した。
19人が辞任すれば定数70議席の立法会で民主派は2議席に激減する。
ネットメディア「香港01」などによると、資格剥奪の可能性があるのは楊岳橋、郭栄鏗、
郭家麒、梁継昌の4氏。このところ中国系香港紙は立法会での議事妨害など4氏を批判す
る論陣を張っていた。

香港基本法は立法会議員に基本法の擁護や香港特別行政区に忠誠を誓う宣誓を義務付け
ている。全人代常務委は4氏の行為が基本法違反にあたると判断する可能性がある。

香港の選挙管理当局は7月、9月に実施予定だった立法会選への4人の立候補を認めない
決定を下した。その後、香港政府が新型コロナウイルスを理由に選挙を1年延期し、全
人代常務委は8月に4人を含むすべての現職議員の任期を1年延ばすと決めた。

全人代常務委は香港基本法の最終的な解釈権を持つ。2016年にも議員資格に関する解釈
を示し、民主派の議員を事実上排除した。排除の決定を下せば、覆すのは難しいとの見
方が多い。民意で選ばれた議員の資格剥奪は異例の判断であり、香港に高度の自治を保
障した「一国二制度」の後退が鮮明になる。

民主派最大政党、民主党の胡志偉主席は9日の記者会見で「民主派は法律に従って政府
を監視する義務を果たしてきた。全人代が4人を排除するならばかげた行為で、民意を
無視している」と批判した。