https://www.newsweekjapan.jp/mutsuji/2020/11/post-99.php
「中国に対抗できるのはトランプだけ」の勘違い

トランプ外交の最大の特徴は、第二次世界大戦後のアメリカの基本方針「超大国である
こと」を放棄したことにある。自由貿易をはじめアメリカ自身が生み出したルールや秩
序をトランプが拒絶したことは、「超大国としての立場も降りる」と宣言したに等しい。

しかし、相手を選ばず、一方的な要求を繰り返したことは、結果的に(中国ではなく)
アメリカを孤立しがちにした。

これと逆に中国は、むしろ活動範囲を広げてきた。トランプがコロナ対策への不満から
世界保健機関(WHO)脱退を宣言し、アメリカの利益が反映されていないと世界貿易機関
(WTO)からの脱退をも示唆したことは、これらにおける中国の影響力を増す効果しかな
かったといえる。