代わりに、任期の最後の1年に陰謀説を広めたり米国を分裂させる政策を推進したりした。
黒人のジョージ・フロイドさんが警官に殺害された後、人種差別撤廃を求めるデモ隊を、
自身の写真撮影のために連邦治安当局を投入してホワイトハウスすぐそばのラファイエッ
ト広場から排除したことも反感をあおった。

農業地帯の有権者、特に大学を出ていない白人男性のトランプ氏への支持が、民主党の上
院奪還を阻んだが一方で、都市部と郊外では有権者の民主党への傾斜があった。特に、郊
外に住む大卒の白人有権者はトランプ氏に強い反感を持った。

時代遅れの認識
  
トランプ氏の失敗の1つは、これらの有権者に関する基本的な誤解だ。郊外の「主婦」た
ちは暴動を恐れており、都市部からの黒人の流入が不動産価格を下落させるのを心配して
いるというイメージは、時代遅れで間違っていた。

共和党指導部は今後1年、トランプ氏敗北の理由と党としてどう対応すべきかの議論に明
け暮れるだろう。しかしトランプ氏の敗北後も、支持者らに共和党が新しい道を行くべき
だと納得させるのは容易ではないだろう。トランプ氏は負けを認めようとはせず、複数の
州で票の集計を中止させようとした。これは同氏が共和党の政治からおとなしく身を引く
つもりなどないことを明瞭に示している。

共和党の存在意義を巡るジレンマはそこにある。前へ進むためには共和党指導者らは最終
的に、トランプ氏とその支持者と共にあり続けるか、有権者が選択したように同氏に別れ
を告げるかを決めなければならない。