https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66072830R11C20A1000000/
英首相、バイデン氏と電話会談 対EU交渉の懸念払拭図る
2020/11/11 4:31

【ロンドン=中島裕介】英国のジョンソン首相は10日、米大統領選で当選確実となったバイ
デン前副大統領と電話会談した。会談では難航する英国と欧州連合(EU)の将来関係を巡る
交渉を懸念するバイデン氏に対し、ジョンソン氏が不安の払拭を図ったもようだ。

英スカイニューズによると、ジョンソン氏はEUとの将来関係を巡る交渉について、かつて紛
争があった英領北アイルランドの和平を守る結果になることを保証した。

バイデン氏はアイルランド系移民の子孫で、北アイルランド問題への関心は強い。ジョンソ
ン政権はEUとの交渉が決裂した場合に、EUとの離脱協定に定められた北アイルランド和平を
維持するための約束を修正する法案を打ち出している。バイデン氏は9月中旬にはこれに強い
懸念を示すツイートを投稿しており、英議会でも法案審議が紛糾している状況だ。

バイデン氏は北アイルランド問題のもう一方の当事国でEU加盟国アイルランドのマーティン
首相とも10日に電話で会談し、北アイルランド和平を守ることの重要性を確認した。

英政府によると電話協議の中で、ジョンソン氏は2021年11月に英国で開催予定の第26回国連
気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)にバイデン氏を招待した。英国が21年に議長国を務
める主要7カ国首脳会議(G7サミット)などの場で直接会談したいとの意向も伝えた。

主要7カ国では、カナダのトルドー首相が9日にバイデン氏と電話協議をしている。ジョンソン
氏はトランプ現大統領と親交が深いため、英政界ではジョンソン氏がバイデン氏と良好な関係
を築けるか不安視する声も出ている。