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[FT]ガラスの天井を打ち破ったハリス氏
2020/11/9 14:27日本経済新聞 電子版 Financial Times

2016年に女性初の米大統領を目指したヒラリー・クリントン元国務長官の陣営は、大統領
選当日夜のパーティーのためにガラスの破片に見立てた紙吹雪でガラスの天井を砕く演出
を用意していた。

あれから4年。カマラ・ハリス上院議員はクリントン氏が果たせなかった歴史的偉業を成し
遂げようとしている。大統領選でジョー・バイデン前副大統領の当選が確実になったため、
ハリス氏は女性としても有色人種の女性としても初の米副大統領になる。

これにより大統領が死亡などで不在になった場合には、ハリス氏がその地位を引き継ぐ。
米史上最高齢で選ばれた大統領の正式な代役を務め、大方の予想通り24年の大統領選にバ
イデン氏が再出馬しなければ、民主党を率いる本命になる。

77歳のバイデン氏と56歳のハリス氏は昨年、民主党の指名獲得を激しく争ったが、その後
チームを組んだ。ハリス氏に近い複数の人物によると、バイデン氏はハリス氏に対し、オ
バマ前大統領と自らのような関係を築きたいと話したという。大統領として重大な決断を
下す際には、最も頼りにすると約束している。

ハリス氏のカリフォルニア州司法長官時代に政策責任者を務めたダニエル・サバー氏は、
ハリス氏はバイデン氏の「真のパートナー」になり、政策全般でバイデン氏を引っ張る
「非常に重要で影響力のある役割を果たすだろう」と期待を寄せる。

ハリス氏はカリフォルニア州オークランドで、インド出身の研究者の母親とジャマイカ
出身の学者の父親の間に生まれた。公民権運動に参加していた両親の影響で政治に関心
を持つようになった。小学校は同州バークレーの人種差別解消の取り組みの一環で、白
人が圧倒的多数を占める裕福な地域にバスで通った。昨年の党指名争いの討論会ではそ
の経験を引き合いに出し、連邦政府の「強制バス通学」制度にかつて反対したとしてバ
イデン氏を非難した。これは党指名争いでハリス氏が注目を集めた数少ない瞬間の一つ
となった。