−−日本時間5日夜の時点では、バイデン氏が優勢だ。バラク・オバマ政権時代の印象は?

 「バイデン氏が副大統領時代に何度も会った。私が第1次政権後に米国を訪問した際も、時間を割いて会談してくれた。
フランクな紳士だ。ベテランの上院議員だっただけに、人間関係を築くのがうまい印象だった。
当時のオバマ大統領は議員経験が少なかっただけに、議会対策を任せていた」

 −−オバマ政権は中国融和政策をとった。バイデン氏が次期大統領となった場合、安倍氏が築いた「強固な日米関係」や、
安倍氏が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」構想に影響はないか

 「共和党であろうが、民主党であろうが『強固な日米関係』は日本だけでなく、米国の利益にもなる。
さらに発展させていこうという姿勢は変わらないだろう。
当然、『自由で開かれたインド太平洋』構想も、ホワイトハウスだけではなく、
議会含めて米国全体の戦略となったと考えていいのではないか。変更はないだろう」

 −−過去の米民主党政権では、通商交渉などで日本が厳しい立場に追い込まれた。
バイデン氏は選挙戦で、企業や富裕層への増税を訴え、環境分野への財政出動を掲げた。日本経済への影響をどうみるか

 「私の政権時代に、日米貿易協定は署名・発効(今年1月)した。通商交渉は終了している。
日本経済への影響は、新政権がどういう政策をとるかだろう。米国は新型コロナウイルスの影響も大きい。
もう少し、慎重に見ていく必要がある。今早急に判断できない」

 −−バイデン氏は予備選で、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を再交渉すべきだと主張していた。
米国のTPP復帰はありそうか

 「オバマ政権時代、議会民主党がTPPに反対した。共和党は基本的に賛成だったが、トランプ氏が反対した。
(米国のTPP復帰は)新たな議会の構成によると思う」