>>590

> フランスのみならず、欧州全土でイスラム恐怖症がまん延し、
>極右の政党や団体は移民排斥を訴えている。その主張はひとことで言って人種差別、分離主義だ。
>イスラム教徒を低く見てこれを排斥することで欧州の「文化」を守ろうというのである。
> 「リビエラの海岸でブルキニは『汚染』に映るのだろう。結局彼らは
>ビキニやトップレスの見える光景が好きなのだ」「初めて欧州の首都を訪れた時、
>街中にヌード写真が広告されていることに衝撃を受けた。あれを禁止せず、
>ヒジャーブを禁止することを優先する社会が優れた『文明』なのか?」といったネット上のコメントは
>イスラム社会側の受け止め方を代弁している。両者の対立は平行線で交わることはない。
>そのような情勢の中で、対立をあおり、相互に憎悪する感情を高めることは、その反対、つまり民衆を
>なだめて相互理解を深める努力を尽くすことに比べてはるかに易しく、リーダーシップも取りやすい。

> マクロン大統領がイスラム対策に関して強硬な主張をせざるを得ない真の理由はここにある。
>高所得者と大企業を優遇する政策に「ノー」が突きつけられた「黄色いベスト運動」による混乱は
>記憶に新しいところだが、22年の大統領選挙で2期目を狙うには政権の支持率は地に落ちている。

> この話は、欧米対イスラムという文脈に留まらない。現代の国際社会はヘイトと分離主義、
>民族対立感情、そして人種差別への反感に満ち満ちている。
>各国の指導者には、感情のままに行動する大衆を制止することが最優先に求められているというのに、
>逆にこれをあおることで票を獲得しようとする不心得者ばかりだ。
>マクロン大統領の一連の発言は、火に油を注いでいるようなものである。

> この点、ひとりの極右過激主義者によって51人の信徒がクライストチャーチのモスク内で
>射殺されるという事件に対処したニュージーランドのアーダーン首相の英知が光る。
>弱冠38歳(当時)の女性宰相は、「テロリストに名前はいらない」とした有名な演説をする前に、
>同国議会に史上初めてイスラムの導師を招き入れ、コーランの朗誦で開会したのである。
>宗教を問わず「新旧の移民同士」が調和を求め、
>異文化を受け入れる姿勢を率先して示したことが、報復の連鎖を防いだ。