>>583

 バイデン氏の発言の明るい面を見ると、彼はトランプ氏と正反対の存在になるように思える。
バイデン氏は人を蹴落とすことはせず、規範を無視せず、同盟諸国をないがしろにもしない。
彼は、民主党内の左派の情熱を抑制しながら、超党派の政策をまとめるため共和党と協力する。
こうした面からバイデン氏は、郊外に住む女性たちや、二極化した政治にうんざりしている
共和党支持者にとって、民主党の大統領候補として理想的人物のように見える。
彼は、人格面と新型コロナ対策の面で、統制の取れた選挙戦を展開しており、
それによって今回の選挙は、トランプ氏への信任投票のようなものになっている。

 われわれはまた、バイデン氏が分断を抑制する形で国を治めることができると信じたい。
それが米国にとって好ましいからだ。彼が自らの直感に基づいて行動できる状況にあり、
彼が10歳若ければ、それを実現できる可能性があったかもしれない。
2011年の予算案をめぐるホワイトハウスとの妥協にかかわったすべての共和党議員は、
バイデン氏がその場にいた場合には前進があった、とわれわれに語っている。
そしてバラク・オバマ大統領(当時)が協議に加わると、協議が振り出しに戻ったという。

 しかし現在、次第に過激化する民主党の動きをバイデン氏が抑制するという証拠が
何かあるだろうか。彼は長いキャリアを通じて、完璧な政党人だった。
政治の潮流に従って、右に左にと揺れ動いた。彼は今年、大統領候補として、
具体的な政策方針を1つとして民主党に刻み込んでいないが、
民主党は彼に党の方針を押し付けている。