●幻聴の集団ストーカーを警察に通報

前の職場の部長さんは、いまの会社中の人に電話をかけ、オフィスのあちこちから、私への批判の“声”が聞こえる。私は毎日、肩をすくめてその様子をうかがっていた。職場中に電話の音が鳴り響き、あちこちで電話を取った同僚の方が部長さんと談笑している。でも部長さんは姿も形も見えない。

私は怖いのと、話の内容に傷つくのと、理由がよくわからない“ストーカー”に消耗していた。まだ病識が半分しかなく、ちょっと自分の様子がおかしいことはわかっていながらも、何をしたらいいかわからない。よってまず、警察に行くことにした。見えているもの、聞こえているものが現実ならこれはストーカーだからである。この頃、声はたいへん大声になっており、同時に私を徹底的に糾弾するものだった。

その頃から、声が会社の外でも、つまり地域でも自宅でも聞こえるようになっていた。職場に向かう自転車の途上、窓の外から、マンションの室内で…。あらゆるところから声が聞こえて、私はすっかり怯えきり、消耗していた。

声はなにかしてくるわけではなかった。でも、部長さんは私をストーカーしてくる。姿も形も、見えないのに。ということで最寄りの警察に駆け込んだ。

「すみません、統合失調症の妄想だと思われたら申し訳ないのですが…」

警察にいくと、生活課の女性警官が優しく話を聞いてくれた。

しかし、翌朝職場にいくと、なんと「あの女、警察に行きやがった」という部長さんの声が聞こえてくる。警察と職場がつながっている。私はショックを受けて文句をいうため職場から警察にふたたび連絡をした。すると「ストーカーなんだったら念のため職場にも連絡するのは当然ですよ」という笑い声が返ってきた。

あれから7年たった令和の今から思い返すと、このあたりになると、もう何が現実で何が幻聴なのかわからない。事実を確かめに警察の記録をみたいとも思わない。ただ、私はもう世界に味方がおらず、周りは敵ばかりだった。誰に訴えても、無駄どころか事態がより悪化するからである。

ただ、私の話に耳を傾けてくれる人もいた。やっとできた彼氏(のちの社長)と、無職の頃から仲良しの親友である。