●女34歳、独身、一人暮らし、非正規雇用

私が統合失調症になった過程は、病の記録であるとともに、ひとりの女性が夢破れていくプロセスでもある。
さて、統合失調症になったと言っても、何から書けばいいのだろうか?この問いはすなわち、他でもない私自身が、何が統合失調症の原因だったと考えているかに依拠する。重大な問題だ。
私の自己紹介から始めようかな。
当時の私は34歳。独身で、非正規雇用だった。ご存知の通り、日本は独身の非正規雇用に厳しすぎるぐらい厳しい国だ。

私はもともと、しがないプログラマだった。しかし32歳で会社を辞め、無職でぶらぶらしていた。33歳の時、そんな私にも彼氏ができた。無職の彼氏である。この彼氏が、貧困と統合失調症の生活から救い上げてくれた。ただし、それはだいぶ後の話である。

とりあえず、彼氏ができた私は、働こうと考えていた。プログラマみたいに忙しい仕事ではなく、ワークライフバランスの取れた仕事をしよう。ちょっと彼氏にいいところをみせて、ますます好きになってもらいたい。そう考えて、熱心にハローワークに通い、資格もとった上で経理の職を得た。

しかし、能力不足なのかなんなのか。満期になって二社クビになっていた。それでも、雇われること以外の考えを持たなかった私は、一生懸命に職を探した。結婚がしたかったからである。結婚して愛する人との間に子供を作り、幸せになりたかった。

そんな夢はあっけなく、破れてしまった。統合失調症を発症したからである。

ある夏の日、二社目をクビになった私は、またハローワークで経理の仕事を見つけた。給料は手取り15万。貧困ギリギリ。しかし雇用は最大4年あると言う。これなら、妊娠出産できるのではないか?そんな夢を抱いて、私はその会社に入社した。夏の暑い、とても暑い日のことだった。

しかし、初日から様子がおかしいのである。