だが同時に、メッセージの内容でも送り方でも、共和党のほうが法的な限界まで踏み込もう
とする姿勢が強いというのが双方のストラテジストの一致した見解でもある。

米国の通信各社は今夏、受信拒否に関する明確な説明を記載していないことなどを理由に、
トランプ陣営のメッセージ送信を100万通以内に制限した。同陣営は、同意していないのに
メッセージを送りつけられたとする少なくとも2件の訴訟にも直面している。

選挙運動でのテキストメッセージの配信は通常、自動送信を専門に手がける民間企業に委託
されている。

■今後も選挙運動に使えるかは不透明

自動送信で有権者にメッセージを浴びせかけることに加え、知人などにテキストメッセージ
で働きかけるよう支持者に求める「ピア・ツー・ピア(P2P)テキスティング」の手法も用
いられている。メッセージの内容は支持者自身が決める場合もあるが、どんな相手であるか
によって変わることもある特定の文例に従うことが多い。

P2Pテキスティングは個人的なメッセージ送信となるため、事前の同意は不要だ。このやり
方のほうが反応が強いというのが現場の声だ。

民主党の候補者向けにP2Pテキスティングのアプリを販売するザ・チューズデー・カンパニー
のマイケル・ルチアーニCEOは、今回の選挙戦では同社製アプリの使用頻度が過去の水準の
10倍に達していると話す。

業界関係者らによると、大統領選の最後の攻防で両陣営とも、可能な限り多くの有権者に投
票を呼びかけようとテキストメッセージに大きく頼っている。
この手法の唯一のリスクは、大々的なメッセージ攻勢が有権者の怒りを買うことだ。その結
果、将来の選挙戦で効果が弱まると危惧する見方も出ている。
By Kiran Stacey(2020年10月28日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/