大ヒット『鬼滅の刃』効果でも厳しい「消費氷河期」の現実
10/29(木) 12:03配信 新潮社 フォーサイト
https://news.yahoo.co.jp/articles/4050c6b32b0964f7ba625ad6bcedc1af4f0278de

「出版不況」と言われて久しい中で、出版元の集英社は2020年5月期の売上高が、1529億円と前期比14.7%も増加。
純利益は209億4000万円と、前期(98億7700万円)の2倍以上の利益を稼いだ。

食品や菓子業界にとっては、消費が落ち込む中で唯一伸びている「巣篭もり消費」につながる大きなきっかけとして「鬼滅の刃」人気にあやかろうとしているわけだ。
そしてさらに、キャラクターが店舗に溢れることで、映画や漫画の認知度が向上、宣伝に繋がるという相乗効果も起きている。

鬼滅の刃」は、客が激減して存亡の危機に立たされている外食チェーンの救世主にもなっている。
すしチェーン大手のくら寿司は、『鬼滅の刃』のキャラクターを描いたクリアファイルを会計2000円ごとに1枚、先着順でプレゼントするなどキャンペーンを展開。
メニューにも、竈門炭治郎をイメージしたマグロのアボカド添えなどにぎり3種盛り合わせや、「禰豆子のたっぷりベリーアイス」なども開発した。
キャンペーンを実施した9月の既存店売上高は、前年同月比107.9%と7カ月ぶりに前年同月超えした。
日本フードサービス協会の統計によると、外食チェーン全体の売上高は、4月の対前年同月比60.4%を底に持ち直しているものの、7月85.0%、8月84.0%、9月86.0%と頭打ちになっている。

しかも、15%減というのは平均の話で、業態によって大きな差がある。
持ち帰りが伸びているファーストフード・チェーンは96%前後に戻しているにもかかわらず、ファミリーレストランは80%、パブレストラン・居酒屋にいたっては、9月になっても51%に留まっているのだ。
前年に比べて15%も売り上げが落ちれば、それだけでも利益を確保するのは至難だが、半減となれば、もはや経営を維持するのは難しい。

『鬼滅の刃』とのコラボを頼みの綱とする多くの企業は、「鬼滅人気」が少しでも長く続くことを祈っているに違いない。