「責任痛感芸」繰り返した不誠実な人 武田砂鉄さんがなお問い続ける「首相の言葉」
会員限定有料記事 毎日新聞2020年10月2日 15時00分(最終更新 10月2日 16時36分)
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>  国会論戦では野党に感情的にやじを飛ばし、批判する国民を「こんな人たち」と突き放す。
>安倍晋三前首相が第2次政権を担った7年8カ月、政治の場で熟成した議論を聞くことが
>ずいぶん減ったように感じる。著名人の言葉や日常のささいな違和感から
>社会の問題を切り取ってきたフリーライターの武田砂鉄さんは、安倍氏について
>「疑惑をやり過ごし、ウソをつき続けることで説明責任から逃れてきた」と評する。
>「言葉」を軸に、安倍政権と今の政治状況を論じてもらった。【野村房代/統合デジタル取材センター】

> ――この7年8カ月で、印象に残っている安倍氏の言葉は何でしょうか。
> ◆まず後半の数年において、安倍さんが「オリジナルの言葉」を発する場面はほぼなかったと思います。
>真っ先に頭に浮かぶのは、記者のぶら下がり取材にまともに答えず、
>足早にその場を立ち去ろうとする後ろ姿。

> また近いところでは、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言発令を発表した
>4月7日の会見での言葉にも、似た性質が読み取れました。イタリア人記者から
>「ロックダウンしない日本の対策がもし失敗だったら、どのように責任を取るのか」と問われ
>「私が責任を取ればいいというものではありません」と反論しました。
>続けて「お国(イタリア)と比べて感染者の方の数も死者の数も桁が違う状況」とし
>「海外の国々と違って」クラスター対策をやっている、と強調しました。
>そこには「私たち」と「あなたたち」とを線引きし、自分たちはスゴイと思い込む考え方がある。
>自分の味方は大事にするがそうでない者を外に置く、
>そうしたメンタリティーは、今の日本全体を包み込む空気とつながっています。

>――自分の言葉を発すると、ボロが出てしまう。それを避けていたということですか。
> ◆そう思います。安倍さんという人は、議論を戦わせるだけの論理的な体力がなく、
>やたらと感情的になって「(森友学園の国有地売却に)私や妻が関係していたとなれば、
>首相も国会議員も辞める」といった大きなことをとっさに言ってしまう。
>「私や妻」が関わっていたわけですが、そうしたウソを平気でついてしまう。