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新規事業も伸び悩む
他方、事業別売り上げで最大となる精機事業にも暗雲が漂う。2021年3月期の営業利益見通しは前年比約98%減の10億円。液晶露光装置は中期的に好調が見込めるものの、半導体露光
装置の販売台数は前年比18台減の27台にとどまる見通しだ。今後、半導体検査装置など収益源の多様化などを図る方針だが、先行きは不透明だ。
新規事業も伸び悩む。創薬や再生医療に活用される細胞培養事業などを含むヘルスケア事業は2017年から赤字が続く。
また2019年には工作機械事業にも参入し、工作機械大手のDMG森精機と業務提携。両社でレーザー加工機などの製品開発を行い、DMG森精機の販売網を活用しているが、製品群はまだ
少ない。市場関係者からは「細胞培養や工作機械について知見がほぼないニコンがやる必然性が見えない」という声も上がる。実際、ニコンの株価は右肩下がりで、1年前の半分以下になっ
ている。
2021年度までの中期経営計画では、新規事業など成長領域に積極投資することで新たな収益の柱の創出を目指している。既存事業が低迷する中でも健全な財務基盤を生かし、ニコンは
持続的成長を実現できるか。